剱岳-チンネ&八つ峰・リベンジ山行



日時:2004年8月8日〜11日
山域:立山
山名:立山・剱岳-チンネ・八つ峰
ルート名:熊の岩BC:チンネ及び、八つ峰
形態:アルパイン
目的:長年の夢、そして、数々の敗退?に対する最終リベンジ
メンバー:L:北村、谷嶋、迫
報告者:迫

長年の夢であり、これまでの数々の敗退(一部の人)に対する、最終リベンジとして、万全の準備と3日間の予備日を用意し、決死の覚悟で挑んだ。

8/7 当然の如く、30分の遅れで、宇都宮を出発(21:30)する。
盆の帰省で混んでいるのかとも思われたが、渋滞もなく順調にすすむ。途中、今晩の酒、電池など買出し、一路、長野・大町を目指す。
自分(報告者)は、1年、いや、8ヶ月の間でこんなところまで3回も来るとは思ってもいなかった、
始めは「思えば遠くへ来たもんだ」と感じていたが、3回目ともなると、感覚が鈍ってくる。
1:30ころ扇沢着、既にターミナルのベンチ等で仮眠を取っている人たちがいる。テラノを無料駐車場に滑り込ませ、テント設営し、酒を飲に、明日からのリベンジを描きつつ就寝。
8/8 快晴
始発(7:30)のトロリーバスに乗るべく、5:00起床。
朝食を済ませ、テント撤収、準備をして、リベンジへの出発(7:16)である。
チケット購入(\8500:往復:五日間有効)このチケットを買うのもこれで最後か!はたまた、4回目があるのか。
ロープウェイでもあまり待つこともなく、ほぼ定刻どおりに室堂到着(9:08)。標高2450m
立山三山に若干の雲がかかるが、快晴である。
今日は、源次郎谷端経由で熊の岩までの移動である。
しかし、ここは既に標高2450mである。ヤバイ。。。。しばし高度順化のため休憩する。
9:45  出発 ミクリガ池・地獄谷経由で雷鳥平へ。雪が全くない。5月の連休時にはあれほどあった雪が全くなくなり正面の別山乗越への登りルートが明瞭に見える。
ここからが辛い登りである。5月の連休であれだけ辛い思いして登ったところを又登る。。。
谷嶋君に種ができ始める。ゆっくり、種を発芽させぬように登る。
12:09 剱御前小屋着 途中から雲が出始めたため、展望なし。しかし、暑い。ここからは、剱沢の下りなので、気は楽であるが、長い!
剱沢のきれいな水の流れと、お花畑を眺めつつ下る。チングルマの実が満開であり、タテヤマリンドウなどの花が咲いている。が、北村さんは全く興味なし、谷嶋君はやっとチングルマを覚えてくれた。
13:40 剱沢の雪渓 1本とると同時に、アイゼン+ピッケルの準備。
自分は初めてなので、よく分からないが、かなり雪渓の雪の量は少ないようだ。シュルンドが発達し、あちこちで崩れており、注意が必要である。が、極端に変なところを歩かなければとりあえず安全と思われる。
左手に、平蔵谷を眺めつつ下降をつづける。
14:30 長次郎谷端着 1本とる。が、谷嶋君の種が発芽してしまった。
しばし、休憩。ここから、熊の岩まで雪渓の登りである。目の前に長次郎谷の雪渓が上に向かって伸びる。
こんなところを登るの〜〜??ゲ〜〜!(何のゲ〜〜でしょう?)
ひたすら雪渓の直登である。イヤジャ〜〜。雪渓が小さく減っているため、岩場への取り付きが何度かあるためアイゼンの着脱があり、また、シュルンドを越えるため、いやらしいところが何箇所かあった。
17:10 熊の岩下着 水場で給水。
17:50 熊の岩テント場着 すると、そこには、稲龍さんが奥さんと二人で既に入っていた。
テント場の正面には、八つ峰の5,6のコル、6峰のA〜Dフェイスが鎮座する。
稲龍さんは、Cフェース〜八つ峰をやっつけてきたらしい。しかも山靴で。すごい。
8/9 雲あるが、晴れ。
3:00起床、4:30出発 話では、長次郎谷右又上部の雪渓が崩れているとうことだが、稲龍さんからの情報で通過可能ということなので、予定通り、池ノ谷乗越へ向かう。乗越(5:25)を越えてからは、雪もなく、いやらしいガレ場のくだりである。落石が頻繁に起こり注意を要する。先行者との距離を取って進む。左右の壁からのラクも怖い。
山ノ窓乗越着(5:55)、ここからチンネ左稜線取り付きまでは雪渓歩きのため、アイゼンつける。
登り始めるとどうにもならないので、出すもの出して、軽量化を図る。
先行パーティーが2組。。。これで、取り付きは完璧!間違えることはない。長年の夢を実現するときが来た!
7:00頃 1ピッチ登ったテラスからのスタートである。先行の3人組パーティーの後にスタート。リードは北村さん。(時間を記録した紙が雨でボロボロのため時間はところどころしか解読できず)
明瞭なクラックを攀じる。W級。リベンジのスタートである。
ところどころ、ルートファイディングが?となるところがあるが、会長が快調に登る。
3,4ピッチ上がると、後続のパーティーが取り付くのが見える。下方には三ノ窓雪渓が伸びていく。絶景!
8:32 4ピッチ目 バンド〜ルンゼ30mU
本には、「ルートを通して、花崗岩のしっかりしたルート」とあるが、かなりいやらしい。ウメコバほどではないが、かなり大きめの岩が浮いていたりして、ヒヤっとすることもしばしば。
5ピッチT,6ピッチVは上部でかなりの浮き岩が多い。
11:07 9ピッチ目 ピナクルの林立するリッジ50mW。しかし、ここで、ルート選択をミスって、時間を大幅にロスし、後続パーティーに追いつかれる。
正規ルートはピナクルの右を回り込み上部へ抜けるのだが、ピナクル下部から、10m位下降してしまった。そのため左下カンテコースに入ってしまう。10ピッチ目の核心取り付きに戻るために、かなりいやらしいムーブになり、既にここで戦意喪失気味になる(迫)。が、なんとか、核心取り付きに辿り着く。が後続パーティは正規ルートで来たため早着し待っていてくれた。。。。すみません。
12:49 リッジ〜ハング〜凹角35mX 北村さんが出発。が、正規9ピッチ目終了点の、リングボルトが打ってあるところが、1m位のクラックで浮いている。。。。テラスになっているので、荷重をかけないようにしていたが、いつ崩れてもおかしくない。。。。
さて、自分の番、ハング部の核心で進めぬ!・・・残念ながらA0してしまった。悔しい。
リッジの右側はスッパリ切れていて高度感抜群!と言うよりちょっとビビリが入る。そうなると、気が負けそうになるが、取り直し、A0しまくりで核心通過。終了点で後ろを振り返ると、すごい!右手には八つ峰の岩峰が連なり、左手には三ノ窓雪渓が続いている。こんな景色はここまで来なければ見れないだろう。苦労した人の特権である。
ちょうど、この頃から、風が冷たくなり、大粒の雨が降ったり止んだりして、冷え込む。寒い! カッパの上だけ着込み、登攀を継続する。
この後、V〜V+が3回続くが、途中とんでもない、Y級がある。全く信じられないことだ、もう少し場所を考えてして欲しい。ま、こんなところでするくらいだから、だいぶ切羽詰った状態だったのであろう。が。。。。臭い!
ちょうどステップになりそうな段部にちり紙にまみれたものが、残っていた。
14:00頃 チンネ終了点到着 長年の夢、そしてリベンジを達成!両名は感無量といったところだろう。
継続パーティーのために終了点を明渡し、5m位進んだ広ばで、ザイルを解く(後の下降を考えると、ここでハーネスを外すべきではなかった)。
踏み跡を下り、コルを通過するころには、大雨になり、下降がつらい。ハーネスをつけていれば懸垂で下りられるのだが、外してしまった今では、クライムダウンするしかない。ガレ、ザレを下る。
池ノ谷乗越下部に出て、登り返し、乗越着。あとは、テント場まで下るだけ。
ここの雪渓の下りは非常に怖かった。考えてみると、自分は滑落停止の雪訓を受けていないことに気がついた。。。
滑落しなければいいのだ!と、慎重に下る。
で、テントば到着(17:30頃)。13時間半の行動であった。ツカレタゼイ!
8/10  夜は風強く、雨も降ったり止んだりが続いていた。
朝は曇り。3:00起床予定が、時計の音に気がつかず、4:00起床になってしまった。すみません。
5:30頃、出発。今日は、5,6のコルから、八つ峰縦走である。
目の前の雪渓を横断して、5,6のコルへ。ほんの20分位である。コルで、装備を着け準備する。
この頃から既に雨が降り始め、冷え込んでくる。
2、3m右にトラバースして目の前のルンゼを登る。山靴のため、昨日のようには登れず、ヒヤヒヤものであった。
6峰Aフェース岩峰の裏(Aフェース、Bフェースのコル)にでる。ここまでも、結構浮石があり、いやらしい。
ほんとにこっちでよいのか、不安になるが、ハーケンがあり安堵する。
北村さん、谷嶋君であればノーザイルでいけるが、自分は山靴ということで自信がなく、アンザイレンしてもらい、登る。恐らく、高度も低ければ安心してノーザイルで登れるのだろうが、こういうところで、精神面の弱さが出た(まだまだ青い)。
急登を登りきると、踏み跡も明確なT級程度の登りとなり、お花畑を眺めつつ登る。
最後、ひと登りで6峰である。
雨が、降ったり止んだりで、雷も怖い。時折雲が切れ、展望が開けると、眼下にはものすごい景色が広がる。
天気のこともあり、八つ峰の稜線は辿らず、6峰の懸垂のあと、右に巻くトラバースを進むことにした。
始めのピークが6峰で、20mの懸垂、その後直ぐに登り返し、次のピークこの後は、クライムダウンでも下りれるのだが、懸垂で下降する。ここは、昨日チンネから見えていた懸垂ポイントのようだ。
ここから、各峰を右に巻くトラバースが始まる。目の前には、クレオパトラニードルが聳え立ち、その右には、昨日のチンネの稜線が、雲間に見え隠れする。2パーティーが取り付いていた。
何箇所か、やらしいザレ場を通り、巻き道を進み、クレオパトラニードルを右に眺め、ルンゼに行き当たる。
ルンゼを越えると、古びたフィックスロープがあり、頼りたくないロープだが、足元が滑る。フィックスロープを超えたあとの、ルンゼを登り、コルに出ると、正面には、昨日のチンネ終了点が直ぐそこに見える。
ここから、そのまま、昨日のルートに合流しても良いのだが、天気も回復してきたし、八つ峰といっても6峰だけなので、つまらん!ということで、コルから直ぐ左手のリッジに取り付き直登する。リッジと、凹角が入り混じったルートで、一応ハーケンが何箇所か打ってあったが、ノーロープで登る。凹角部を抜け少し開けた所から左に回りこみ、ルンゼにでてそのまま登りあがり、コルにでる。小休止。
ここは、どこ? コルから右へトラバースしていくと、昨日の終了点の反対側の上の懸垂点に着いた。
後は、ここから、2回の懸垂で池ノ谷乗越下のガレ場にでる。
乗越まで登り返すと、源次郎谷が目の前に広がり、熊の岩のテント場までもが、見渡せる。
後は、雪渓を下り、テント場へ。13:00頃には着いてしまった。
雪渓を下降中、Cフェースから鈍い金属音が響き、よくみると、ザックが落ちていく。。。あ! でも、人じゃなくて良かった。
後は、お茶でも飲んで、ノンビリ、正面のA〜D各フェイスを攀じているパーティーを見物。とても、GOODな時間を過ごせそうに思っていたが。。。Cフェイスでコール「事故発生!」
ここには、2パーティーが取り付いており、先行の3人パーティのうち一人が、懸垂中に失敗し、腰部強打し、右足首骨折したようだ。(コールの中で叫んでいたし、後のニュースにもあった)後続パーティと他のルート登攀中の仲間とで、レスキューしていた。が、本人がほとんど片足で、懸垂して下りてきていた。
下降しきってから、前もって呼んでおいたらしい富山県警のヘリが飛来しピックアップしていった。
アッというまである。クライミング中の事故なので、ハーネスを着けているため、ホイストのフックをビレーループに引っかけておしまい。早い!クライミング中の事故でよほどのことがない限り、ハーネスは着けていたほうがヘリでのピックアップ作業は早いと思った。
しかし、今日は、県警のヘリの音が頻繁に聞こえていた。人事ではない、自分たちもお世話になる可能性は秘めている。十二分に気をつけよう。
8/11  今日は下山の日である。が、テントの撤収もあることから、同じく3:00に起床し、食事、撤収を行う。
6:00 出発 源次郎谷の雪渓をひたすら下る。右手には、源次郎尾根がモルゲンロートに染まる。美しい。
岩場があり、何度かアイゼンの着脱を繰り替えし、7:30ころ、源次郎谷端に着、1本とる。
あ、俺のポカリが。。。いつの間に漏れてなくなっている!ゲ〜〜!(これは違う)水はあと、200ml程度で、剱沢小屋まで持たせる。
ここからはひたすら剱沢雪渓の登り。高校生らしき集団が、駆けるように空身で登っていく。
何度か休憩をとりつつ、剱沢小屋へ、非常に喉が乾く。もちろんコーラ!購入。。。なんと、ここの、剱沢の売店のお姉さまが非常に、最高にきれいな人で、今までの疲れが一気に何処かへ行ってしまった。素晴らしい。
谷嶋君だけずるい!
次に目指すは、剱御前小屋である。ひたすら登る。調子が良いようで、50分かからず登ってしまった。
そしてここでも、飲み物購入(散財である)。あとは、室堂まで行くだけであるが、室堂手前の登りが気にかかる。
しかし、ここからの展望も良い。後ろには、今までいた、剱岳と、源次郎尾根がなびき、前には雲海である。
焼きうどん、ビールで時間を費やす。しかし、この後の下りが。。。。シンドイ。
ひたすら下り、雷鳥沢キャンプ場で一本とる。また、十分に休む、時間はたっぷりあるし、天気も快晴!最高である!
最後の室堂への上り返しが。。。辛い。一般客がいて、ジジ、ババがいる、ヒールで歩いているのもいれば、短パンTシャツでサンダルもいる。。。。ババの後ろについてしまった、ペースが遅い、大荷物を背負っていては、人ごみの中を抜くのもままならない。ここが、核心か!
室堂から、トロリーバスその後のロープウェイでは、1.5時間の待ち時間。
その後、車まで戻り、山行終了。お疲れ様でした。
大町の温泉で汗を流し、帰途に着く。宇都宮には11日の内に到着した(帰省の混雑もほとんどなかった)。




ようやくチンネ



メンバー:L北村・SL谷嶋・迫
日時:2004年8月8日(日)〜11日(水)
山名:剣岳
ルート名:チンネ左稜線(9日)、 八ツ峰主稜(10日)
報告者:北村

2年前は取り付くことなく去り、去年はおれは不参加だったが悪天でダメ。もはや、宿題どころか赤点取って追試のようなチンネ左稜線。今回はもう登るまで帰らないぞ! と室堂を後にする。
迫さんの装備が一番重い。おれや谷嶋君より約5kg多く担いでいる。でも日帰りの山行のときよりむしろ体力差を感じなかった。軽いと調子が出ないのか? 谷嶋君は、ザックに加えて2500mで高山病という宿命も背負っている。みんなでゆっくり長次郎谷を登って熊ノ岩に到着。雪渓の上に浮かぶ緑の島のよう。そしてこんなところにもなじみの顔が。楽稜/遠峰の稲龍君夫妻だ。登山靴でCフェースを登り、八ツ峰主稜を登ってきたという。続いての予定も登山靴でチンネ中央チムニーとのこと。相変わらず意欲的に取り組んでいる。
2日目。4時半行動開始。雪渓をつめ、浮き石の多い池ノ谷ガリーを下って三ノ窓に出ると、左稜線に先行パーティーの姿があった。取付はルート図の2P目に相当している(以下ピッチ数はルート図に従う)。2年前に来たときは7月でまだ雪渓が多く、この2P目の取付もシュルントの奥にあったようだ。ガスっていたせいもあり、うろうろと確認してるうちに小雨が降り始めて退散したっけ……。
ピッケル・アイゼン・登山靴をしまい、支度を整える。クライミングは谷嶋君のほうが上手いが、やれるところぐらいはおれも頑張らないとマズいのでトップで行くことにする。嗚呼、早速ザックが重い……。迫さんは交差したザイルをくぐるときサブザックに付けたピッケルが邪魔になっているらしい。シャフトがニョキッと飛び出てカブトムシみたいだ。谷嶋君はもうすっかり高度順化は済んだ模様で、邪魔そうなデカいカメラをブラ下げてスタスタと登ってくる。
せっせと7Pあたりまで進むと、そこから核心部がよく見えた。ドーンと聳え立ち、「こんなの本当に登れんのか?」と思うほどのド迫力だ! 9P目、ピナクルまでより易しく行こうとしてタイムロス。結局易しくもならなかった。核心部は、T5まで近寄ると最初の印象よりは案外小さかったのでホッとする。核心のピッチにいざ突入! リッジをちょっと登って、そこから左のフェースに移る際のスタンスさえ決まればあとはすんなり行けた。ヌンチャクの在庫が心配になった頃に丁度よく終了点。10P目以降、だんだん登りよりビレイで疲れてくる。おっと! 狭いリッジの隙間にウンチの跡。誰だよこんなところにしたヤツは! 雨が降ってきた。カッパを着るが、ハーネスがあるので上半身だけ。下半身がビショ濡れで寒かった。やっと13Pを終えたが、池ノ谷ガリーに出るガレ場もイヤなところだった。
3人だったし13Pもあるのでやっぱり時間はかかるよな〜ぐらいに思っていたが、『日本の岩場』からコピーしてきたルート図をよく読み返したらずいぶん余計にかかっていたことが判明。登攀がゆっくり過ぎた。今後はもっとスピードも意識しないとマズイ……。
3日目。前日の雨で冷えたせいでおれは頭痛がした。2人は元気だ。X・Yのコルから八ツ峰に入る。谷嶋君が先頭だ。ガリーをつめたコルからBフェースの上に出るのに念のためザイルを出す。パラパラッと雨にも降られ、ラジオでは雷を予報していたので、Y峰の懸垂の後は三ノ窓側の巻き道をたどって早めに抜けることにする。チンネの頭の下に至り、また前日と同じように池ノ谷ガリーを経て帰る。迫さんは、八ツ峰の岩場ではおれが思う以上に確実な足取りで行動していたが、それよりも雪渓の出だしを下るほうがニガテだったようで、スキーなら平気なのに、とボヤいていた。ははは。谷嶋君がすぐ近くでアドバイスしつつ降りる。
熊ノ岩に戻り、Y峰の各フェースを登攀中の数パーティーの姿を眺めていると、Cフェースで事故が発生した。壁の真ん中で足首を折ったらしい。見ていた限りでは下降中に振られたのが原因のように思えた。コールのやり取りが聞こえ、無線で救助要請ができたらしいことがわかった。同ルートにいた別パーティーの協力で何とか取り付きまで降ろしていたが、だいぶ時間はかかっていた。ついに県警ヘリ"つるぎ"が到着すると、手際よく引き上げてあっという間に飛び去っていった。この日は源次郎尾根でも転落事故があり、これも"つるぎ"が出動したようだ。
最終日。いい天気。小屋に着くたび、コーラだのビールだの焼きうどんだのと飲み食いしながらのんびり帰る。