待ちに待った立山山スキ−合宿の始まりである。


日時:2004年5月1日〜4日
山域:立山
山名:立山・剣
ルート名:真砂沢・剣岳・御山谷
形態:山スキー
目的:残雪期を山スキーで滑りまくる
報告者:柴田 敏弘

5月1日 晴れ
 1日の夜に富屋出発であったが、リ−ダ−・テッシ−の計らいで朝8時の出発となった。うまくいけばその日のうちに雷鳥沢BCまで入ってしまおうという計画である。8時少し回って、富屋を出発した。途中国道50号線でやや渋滞したものの、大した混雑もなく15時前に無事扇沢に到着した。最終室堂行きには十分間に合う時間である。ゆっくり準備をしていざトロリ−バスへ乗り込む。1日で夕方のせいか結構がらがらである。重い荷物とスキ−を持っているので、ありがたい。程なく黒部ダムへ到着。ダム上を歩いてケ−ブルカ−で黒部平に到着。そこで荷物券とスキ−券を購入する。荷物の重さは、10kg〜20kgと書いてあった。ザックの重さを量ってみるとテッシ−が34kg、私が31kg、重量オ−バ−である。テッシ−の3〜4kgはきっと酒である。リ−ダ−としていろいろ装備を準備したのだろう。お世話になります。続いてロ−プウェイで大観望へ。トロリ−バスの時間まで間があったので、あれが東一ノ越、ここがタンボ平などとこれからの合宿を期待しながら過ごす。17時35分室堂到着。いよいよ合宿の始まりである。スキ−をはいて室堂山荘経由でBCの雷鳥沢へ向かう。雷鳥沢BC到着19時。さすがに30kgの荷を背負ってのスキ−は、大変である。たいした事もない斜面も、タ−ンをするのもやっと、少しスピ−ドがでると転倒の連続だ。急斜面をトラバ−スしたりでやっと雷鳥沢に到着した。先に入山していた北村隊が出迎えてくれた。日に焼けた顔が笑っている。ビ−ルで乾杯し、迫料理長の準備してくれたハンバ−グカレ−で入山を祝った。天気は最高、明日が楽しみだ。後半天気が悪くなるのがわかっていたので、予定を組み替えて、明日は、御山谷滑降と決定し、寝袋に潜り込んだ。

5月2日 晴天
 6時起床。雲一つない晴天である。時間的に余裕のあるコ−スなので、ゆっくり朝食を摂る。コ−ヒ−の良い香りに、食パン、バタ−ロ−ルである。いちごジャム、卵マヨネ−ズ、ハム、レタスをサンドイッチにして豪華な朝食となった。残ったバタ−ロ−ルといちごジャムを持って、8時5分”一の越”へ向かって出発した。快晴、無風、一面の雪の谷間をシ−ルを効かせながら快調に進む。途中雷鳥の夫婦が朝の挨拶に現れた。がしかしどうも様子がおかしい。なんと這い松の陰でトイレ袋を持ったコック長が座っているではないか。朝食を終わって愛の巣へ帰ってきた雷鳥にとっては、迷惑なことである。周りで威嚇の声をあげたり、飛び回ったりと落ち着かない。それより当の本人は、登ってくる人から丸見えの高台のため、もっと落ち着かなかったことだろう。無事用も済み、無事愛の巣を雷鳥君に引き渡して再びスキ−を進める。9時45分、一の越山荘へ到着した。少々風があったものの、天気の良さ、周りの景色の良さに気分は最高である。これからの御山谷滑降に備えて、ル−トの偵察をする者、写真を撮る者、腹に詰め込む者、思い思いに休憩する。10時、黒部ダムに向かって御山谷に滑り込む。思い思いのシュプ−ルを描きながら、滑り降りる。それほど急なところもなく、雪質もそれほど重くなく快適である。足慣らしができたところで、ビデオ撮影をした。それにしても長い長い斜面である。距離感がおかしくなってくる。みんな滑りを楽しんでいる中、迫君が大クラッシュ。カ−レ−スでパ−ツをまき散らしながらクラッシュするレ−スカ−を見ているようだと谷嶋君が笑っている。なるほど滑りも豪快で上手なら転倒も豪快である。今日の迫君はいろいろ話題を提供してくれる。谷も狭くなる手前でゆっくりと早お昼を摂り、12時30分黒部ダム湖畔に滑り降りた。後はスキ−を担いで湖畔沿いの遊歩道を1時間ほど歩き、黒部ダムケ−ブルカ−駅に着いた。ロ−プウェイ、トロリ−バスと乗り継ぎ室堂、スキ−をはいて雷鳥沢BCに戻った。まだ日が高く、テントの横に雪を掘ってテ−ブルと椅子を作り、夕食の準備である。今夜のメニュ−は、チ−ズフォンデュと野菜たっぷりのコンソメス−プである。まるでヨ−ロッパの山岳リゾ−トといった雰囲気である。当然ビ−ルで乾杯した後は、ワインだ。だんだん夕日に染まって暮れていく山々を見ながらの酒宴は、最高の気分だ。いつの間にか御山の上に大きな月が顔を見せていた。フランスパン、ブロッコリ−でチ−ズフォンデュそしてワイン、野菜ス−プでお腹いっぱいになったところで、明日の天気を気にしながら、シュラフに入る。至福の時である。

5月3日 曇りのち雨
 6時起床。今朝の朝食も豪華である。洋風リゾットと春雨サラダだ。ヨ−ロッパ気分満喫である。ニンニク、野菜、焼き豚そしてチ−ズの入った本格的リゾットだ。こってりしたリゾットにサッパリしたサラダ、究極の組み合わせだ。これを食ったら、登りでバテる訳にはいかない。天気は一面の霧。周りの山が全く見えない。ゆっくりお茶を飲みながら天気の回復を待つ。8時45分ややガスも切れてきたので、出発することにする。今日は、別山乗越を経て剣沢を滑る。天気があまり良くないのにたくさんの人たちが登っている。渓嶺隊は、テッシ−を先頭に次から次と先行パ−ティ−を追い越し、快調にとばす。やはりヨ−ロッパ風朝食のおかげか、皆元気である。10時15分余裕で剣御前小屋に到着した。行動食を食べながら一息入れる。目の前は剣岳の主峰がそびえ、その奥に八つ峰がうかがえる。すばらしい眺望である。さあいよいよ剣沢へ滑り込む。すぐに左は断崖のような超急斜面、右はまあ手頃な斜面だ。左はヤベ−と言っている中、下り専門の迫君があっという間に滑り降りる。なんとも格好いい。ああいう危険と思われるところをいとも簡単に滑り降りる迫君は、相当の腕前いや足前である。頼もしい限りである。私も行こうとしたが、どうも勇気が出ず右へ迂回した。こちらも腐り気味の雪で結構難しい。スピ−ドが出てくると突っかかりそうで怖い。何のかんの言いながらも10時50分全員無事剣沢小屋に到着した。ゆっくり休憩しようとしたが、雲行きがおかしくなりぽつぽつと雨が降り出した。11時10分剣沢小屋出発、今度は剣御前小屋に向けての登り返しだ。周りの景色を見ながら、また雪訓をしているパ−ティ−を見ながら12時00分剣御前小屋に到着。後はBCに向かって滑り降りるだけである。登りに使ったル−トを避け、左側の沢筋に滑り込む。滑り出しは結構急斜面であったが、皆快調に滑降を楽しむ。山スキ−初心者のクッチ−は、ビビルかなと思ったが、どうしてどうして果敢に挑戦している。もうどこに連れていっても大丈夫だ。12時50分BC到着。そのころより雨足も強くなり、明日の天気も期待できないと判断し、BC撤収下山と決定した。後ろ髪を引かれる思いで、雷鳥沢BCを後にした。雨に濡れた重い荷物を担いで、やっとのことで室堂に到着。もっと近いと思ったが、疲れた体と重荷のせいかやけに遠く感じた。撤収の決断が早かったおかげで、その日のうちに扇沢に下山できた。皆さんお疲れ様でした。そして剣・立山の山々ありがとうございました。