大戸沢山スキー報告


日時:2004年3月18日
山域:南会津
山名:大戸沢岳
メンバー:柴田(敏)・会員外(加藤)
形態:山スキー
報告者:柴田 敏弘

休みの都合で、雨を覚悟の山スキーである。午後には天気が急速に回復するという予報を信じて、雨の中をレインウェアに身を包み出発した。安達太良山、中の大倉尾根そして今回の大戸沢岳、ここのところ天気に恵まれない。初めてのルートなので地図を見て磁石で確認しての出発である。歩き始めて間もなく、後ろから声をかけられた。なんとあのスーパーじいさんK氏である。(おれもじいさんだけど)やはり大戸沢岳に山スキーに来たのだけれど、雨が降っているので迷っているとのこと。「温泉につかって帰るか!」といつもの調子。少し話をして冷たい雨の中を8:00出発。すぐに尾根に取り付くつもりでいたが、K氏のアドバイスで大戸沢を少し詰めて左の小沢から尾根に取り付くことにする。結構急登であるので、ずるをしようと桑場小沢を少し進んでから尾根に取り付いた。小さなデブリが数カ所あり、いずれにしても急登、どこを登っても同じようである。尾根に出て一服、1386m地点で11:00であった。そのころより雨が雪に変わり、だいぶガスってきた。気温も下がり、おまけに風も出てきた。尾根状のルートであり迷うこともないと判断し、前へ進む。12:30、1553mピークに到着した。ややガスは高くなったものの、雪と風が強く苦労させられた。手袋はびっしょりで、中まで濡れている。気温も低くなり雪面もクラストし始めた。クラストと新雪のミックスで登りづらい。どうせ下りの滑降でしごかれるのはわかっているので、今の内に相棒(加藤氏)をしごく。スキーの上手な加藤がスキーを履いて転けている。実に愉快なシーンである。劣悪な条件の中でのシール登行であったが、いろんな意味で楽しめた。山はいつも同じ条件とは限らないのだ。加藤も「初体験、初体験」とやること見るもの全てに喜んで、雪とまみれていた。そうこうしている内に時間も過ぎ下山を考えたが、午後天気が回復することを信じ、また加藤に上のオープンバーンを見せたくて、もう少し登ることに決めた。13:00やっと頂上直下のオープンバーンが見えてきた。そのころより風はますます強くなってきたが、ガスが切れだし、周りの雪をかぶった真っ白い山々が見えてきた。「これも経験、これも経験」といいながら加藤も強い風の中、クラストした急斜面を登ってくる。オープンバーンを1/3ほど登ったところでスキーをはずしキックステップで頂上を目指した。一本尾根であること、また計画書を出したときに、午後には天気が良くなると思うので少しゆっくり登って、下山は少し遅くなる旨伝えてあったので、14:00まで前進することにした。雪はやんだものの風は強く、気温も急激に低下したようである。濡れた手袋は凍り、ザック、ウェア、ストックに着いた水滴もバリバリに凍っている。あまり長居をしない方が無難のようである。頂上まであと30分くらいと思われたが、そそくさと滑降の準備をする。そのころには雲の切れ間に青空も見えて、気分は最高である。でも寒い。いよいよ滑降開始、14:00を過ぎていた。カリカリの急斜面をシュテムターンで慎重に降りる。加藤も「こんなはずでは、納得いかね!」といいながら安定して降りていた。樹林帯に入って陽も見えてきたので、おそい昼食にする。お決まりのビールで乾杯し、ラーメンでおなかを満たす。15:00、さあ後半戦の始まりだ。尾根上を難なく滑降し、次は沢に向かっての滑降だ。かなり急である。おまけにクラストはしていないものの重たい新雪である。少し踏み込むと膝近くまで埋まってしまう。だましだまし、2ターン成功、4ターン成功の繰り返しだ。雪が重すぎて急斜面にもかかわらずスムーズな横ズラシができない。それでも滑降を楽しんで大戸沢、桑場小沢の合流点に到着した。後は沢沿いに滑って無事下大戸沢シェドに到着、17:00であった。条件は決して良くなかったが、いろいろなことが経験できた貴重な一日だった。このような劣悪な条件の中でも、見るもの、すること全てに興味を持って楽しむことができた加藤氏は、きっといい山屋(山スキー)になると思う。