日時   :2004年8月13日 (金)
山域   :谷川岳
山名   :烏帽子奥壁
ルート名 :南稜
形態   :アルパイン
目的   :南稜を満喫する
メンバー :黒須、柴田(敏)
報告者  :柴田 敏弘

 『南稜、南稜』と呪文のように唱えていた2年越しの思いを果たす時がきた。5時頃谷川岳登山指導センターを出発。お盆の交通規制があり、一の倉沢を目指して林道を歩く。一の倉沢は沢通しに登ったが、やはりヒョングリの滝は直登できず、高巻きをして滝上にクライムダウンをした。対岸の衝立スラブに渡りテールリッジに取り付く。南稜はもう目と鼻の先だ。中央稜取り付きを過ぎ、横断バンドをたどって7時頃南稜テラス到着。良い準備運動、足馴らしができた。先行パーティがいたが、順番待ちをすることなく取り付くことができた。谷間にコダマするコールの声は、登攀意欲をかきたてる。最終ピッチのW+(X)を黒須さんに譲り(いや!泣いてお願いした)奇数ピッチを私がリードする形で”つるべ”で南稜登攀を開始した。
7時30分、いよいよ南稜登攀の始まりだ。憧れの南稜の始まりのピッチをリードできたことを黒須氏に感謝。1ピッチ目、約20m先のチムニーを目指してフェイスを登る。直上でないためロープの流れが悪い。心配していたチムニーも難なくクリアーし、抜けたところが1ピッチ目終了点だった。2ピッチ目、そのまま黒須氏リード。3級フェイスとルート図には書いてあるが、何となくいやらしい。3ピッチ目、草付帯は、50m弱で右側の終了点に着く。このとき先行パーティが懸垂してきた。大きな落石が2回有り、左側に終了点で切っていたらまともに食らっていただろう。4ピッチ目、やはり3級のフェイス、黒須氏リード。やはり何となく難しい。なんと右側も左側も易しそうなのに真ん中を登っているではないか。どうも黒須氏は、なるべく難しいところを選んで登っているようだ。ここまで来て黒須道場が出る。5ピッチ目、馬の背リッジだ。天気はいいし高度感抜群で、リッジに出たとたん右手には衝立スラブ、烏帽子スラブが眼下に切れ落ち、後ろには一の倉本谷のスラブが見え最高の景色、最高の登攀であった。馬の背リッジ終了点はあそこかな?と確認して次のホールドはと目をやったその先には、な・な・なんと横に走る岩の割れ目に(ホールドにとっても良い)茶色い蛇が!ぎょえ〜〜へへへびだー。落ちるかも知れないと思った黒須氏はがっちりビレイ。一瞬動けなかった私も早くこの場を通過したいが、ザイルが出ない。声になったかならないかコールして必死の思いで抜けた。その後一部ややランナアウトするところはあったが、蛇を忘れて、また景色を楽しみながら登ることができた。6ピッチ目、核心ピッチである。フォロウのせいもあり、あれ行けるぞと思ったがやはり最後の1ムーブが出ず、A0をしてしまった。後で考えるともう少し頑張れば良かったと反省した。10時30分南稜終了点到着。
 そしてまた!!最終終了点、下降点の下に今まで見たこともない大蛇が!黒須氏を呼ぶと「アオダイショウだ。良いやつですよ。」なんてやつだ!!オレを動けなくさせる悪いやつだぞ。その後どうにも体調が優れなく(これマジ)黒須さんには迷惑かけっぱなし、やっとの思いで稜線に抜けた。13時00分、一の倉岳到着。途中簡単だが気の抜けない岩場が数カ所有り緊張した。また5ルンゼの頭付近の岩場は、3級程度あり、ロープを出した。足が痙攣したり、何となくめまいがするような気がしたりと、山でバテた人の気持ちがよく分かりました。水だけ飲んで何も食べなかったため血中電解質が狂ったのと、シャリバテだったのかと反省しています。14時00分、谷川岳到着。17時00分、指導センターに無事下山できた。後半は辛かったが、南稜の登攀は天候とパートナーに恵まれ最高の気分でした。黒須さん大変お世話になりました。