赤岩山から古賀志縦走
                             上小牧 憲寛

 「赤岩?御岳?古賀志の縦走はどの程度の経験があれば大丈夫か?」が渓嶺会の中で話題となった。「栃木県の山」という本で調べたところ、「岩登りの初心者に最適」、「岩登りに精通した人の同行が望まれる」、「メンバーの中に岩登りの未経験者がいる場合はロープ必携」と書いてあった。
 2004,7月4日は白根清掃登山の日ですが、病棟オンコールの僕は1時間で病院に戻れるところまでしか行けないので、赤岩?御岳?古賀志の縦走をすることにしました。北村代表に計画書を提出しましたが、「清掃登山をさぼって行くのだから赤岩山のゴミを回収してくるように」との命を受けました。

 パラグライダーをしに来る人たちの駐車場にちゃっかり車を停めた。念のためザックにロープ、ハーネス等を詰め込み、10時発。県道70号を文挟方面へ200?300
m 歩くと、稲荷大明神の鳥居があった。その手前の林道を古賀志側へ歩いていくと、数分で風雷神社の鳥居があった。林道の先にはパラグライダー練習場が見える。風雷神社の鳥居をくぐって谷筋の登山道をしばらく歩いて行くと、いかん、うんちがしたくなった。朝病院で2回もすませたのになあ。トイレ袋は持っていないので、残置とした。これでは清掃どころか汚しに来たようなものだ。
 右の岩場の方へ進む道に惹かれて歩いていくとすぐ行き止まりとなり。戻って左の登山道を上がっていった。やがてパラグライダーのフライト地点が見えてきた。なんと、野門の林道終点で見たのと同じモノレールのトロッコがそこまで設置されているではないか。ぜいたくだぜ。ここまで歩いたって30分なんだから、それくらい歩けよ。
 「栃木県の山」にはフライト基地の下を回り込むと書いてあったが、道はその手前から稜線に向かって上に伸びていた。トロッコモノレールに乗ってきたパラ野郎達と顔を合わせるが、挨拶する気にもなれない。稜線に出てほんの少し歩くと赤岩山に着いた。時刻は11時。
 さらに進むと上級者用フライト基地があった。本にはその下を回り込むと書いてあるのだが、うっかり上を通って東側に歩くと、目の前が土の斜面ではあるが、ほとんど垂直に近く道もない所に出た。懸垂したいくらいである。木をつかみながらジグザクに降り、右側にトラバースすると、フライト基地の下の方から続くと思われる道に出た。道を間違えたのだ。
 岩尾根を登ったり降りたりしながら進む。2級、一部3級かと思われる岩の上り下りがある。546m ピークを過ぎ、御岳頂上に出たところで一休み。本には山頂は広いと書いてあるが、やや狭い。今回は残地のロープや鎖は使わないこと(そんな決心はあまり危ないと思ったらすぐに放棄するのだが)にしていた。クライムダウンも岩と木の根が頼りだ。
 途中、黄土色の蛇に出くわした。蛇はびっくりして斜面を落ちるようにして逃げていく。ハンター柴田がいたら、落ちていくのは蛇でなくて柴田さんだったかもしれない。う?ん、連れて来たかった。
 さらに進むと広くて祠のあるピークに出た。中年女性ハイカーもいる。なんだ、ここが御岳山頂ではないか。女性ハイカーに「どこから登ったんですか?」と聞くと、「道を間違えて赤岩から登ってきた」と答えた。「あそこへは一般ハイカーは入らない方が良いですよ」と言うと「道理で険しいと思った」と答えた。ご主人も後から登ってきた。「御岳からまた赤岩の方向に帰る」と言うので、古賀志と御岳の間のコルから不動滝へ降りる道があることを告げ、奥さんをその道の分岐部へ案内した。途中、僕が鎖を使わないで降りると、彼女も掴まずに降りてくる。「鎖を使って下さい」と言うと「私も鎖が嫌いなの」と答え、上手に降りてきた。これなら御岳赤岩間縦走も大丈夫かなと思ったが、鳥居手前の不動滝への下行路まで案内し、そこで別れた。
 古賀志山頂へは程なく12時に到着。富士見峠まで降り、そこから西に延びる登山道を下った。道が不明瞭な踏査となると書いてあるため、一度通ってみたかったのだが。谷筋を降りるため、一度道からはずれてもまたすぐに戻ることが出来、大して苦労はしなかった。しかし林道に出てからがだらだら長く疲れた。途中左に入る林道がショートカットと判断。悪路であったが、早く県道70号に戻ることが出来た。13時着。
 赤岩から古賀志への縦走は、初心者を連れて行くには8 mm x 20 m のロープとハーネス、ビレイ器具が必用であろう。また、長いスリングを用意し、初心者には自己確保の技術を教えたい。2?3級の岩場は、初心者とロープをつなぐ必用がある。登りは指導者が先に登り初心者を引っ張り、下りはロープで確保しながら初心者に先に降りてもらえば良いだろう。
 北村代表、赤岩から古賀志までの間にはゴミは全く落ちておりませんでした。しかし富士見峠から下り、林道に入るともうゴミの山です。ちょっとだけ拾いましたが、すぐに諦めてしまいました。やはりムチですか?ビシッビシッ。あ〜ん、痛い。