何も知らずに「甲斐駒ケ岳の黒戸尾根」



メンバー:勅使河原 暁
日時  :2004年7月23〜26日
山名  :南アルプス 会駒ケ岳
ルート :1日目 白須口→黒戸尾根→五合目小屋
2日目 五合目小屋→甲斐駒ケ岳→駒津峰→仙水峠→仙水小屋
     3日目 仙水小屋→仙水峠→栗沢山→早川尾根→アサヨ峰→早川小屋
     4日目 早川小屋→広河原峠→広河原
報告者 :勅使河原 暁

宇都宮から電車とバスに揺られること約6時間、11時に国道脇の「道の駅はくしゅう」から歩き出す。登山口には12時に着く。時間が少し遅いので、登るか泊まるか少し迷う。しかし、がんばって歩けば何とかなるだろうと五合目小屋を目指し登り始める。
歩き出しの時刻が遅いので早いペースで歩いたら、2時間ぐらいでバテタ。その後は亀の歩みで進むが、登れど登れどなかなか進まない黒戸尾根、そもそも、地図を眺めて「電車で行ったらここが入りやすそう」と選んだので標高差を良く見ていなかった。
 いいかげん疲れて休憩中によくよく地図を読むと、頂上が2967m、出発地点の「道の駅はくしゅう」が680mくらい(家に帰って調べると614mでした)そんなに標高差があったとは・・・トホホ。次からはもっとよく調べようと、心に誓う。
それだけ標高差があると登りゴタエがあり、出だしは里山の雰囲気で勾配も緩く「なんだ、楽勝ジャン」しかし、登るにつれ笹が増えだしたころから道も急になり、針葉樹がちらほら見えてくるといよいよ、刃渡りや梯子場が出てくる。梯子場も立派なやつが、2段3段と重なっている。緊張感抜群だけど、岩登りともちょっと違う感覚。ちょっとした、空中散歩かな?次の日はハイマツが出てきてやっと頂上と長かった。植生は登るにつれどんどんが変化し、後半は緊張する場面が所々出てくるなかなか楽しいコースでした。途中でバテタので何だか悔しいからまた、行ってみたい、涼しくなった時に一泊二日でのんびりと往復してみたい。
 話は戻って、刃渡りを越したあたりから疲労のためか、脱水のためか判らないが少し目の焦点が定まらない。てか、焦点の定まるのが少し遅い。初めての事なのでちょっと面白い。ヘロヘロになっているので、30分に一回の割合で休憩をとりながら進む。なんとか、陽がくれる前の18時50分に五合目小屋にたどり着く。
 五合目小屋に着き水を汲みに行く前に残った水を飲み干そうと思ったが、ちょっと嫌な予感がしたので、先に水場に向かう。涸れていた。晩飯が作れない。しかたないので、ザックをひっくり返し生野菜やウィンナーなど、水なしでも食れる物で軽くすませる。せっかく苦労して作り上げた食糧計画が初日でくずれた。実を言うと、食糧計画を立てるのは今回が初めて。だから、ちょっとショックが大きい。起きていても、すいたお腹をかかえているだけなので、少しでも疲労を回復するべく早く寝る。
 二日目は5時40分に小屋を出発。涼しいうちに歩き出すつもりがすでに暑い。しかも疲れが残っているので昨日に続き亀の歩みで頂上を目指す。なぜか、股関節も痛む。今、考えることと言えば、まず水場、そして出来るだけ早く下山。それには、どのルートを取れば・・・
 そんなことを考えながら歩いていると、視界の片隅を動くものが、目を向けると雷鳥が3m先を歩き回っている。カメラですかさず、雷鳥君を撮る。家で出来上がった写真を見て、「なんで地面を撮っているんだ?」しかし、良く見ると雷鳥が二羽写っていた。さすが、保護色。
 周りはハイマツだらけになり視界が開け標高が高い事が実感できる。頂上は近いと思うが、頂上は雲の中で見えない。目と鼻の先になったころようやく頂上が見え、11時40分に甲斐駒ケ岳に到着。長かった。広い頂上には反対側から登ってきた人が大勢いること居ること、なんだか必死に藪を漕いで抜けてみるとそこは都会だった。そんな気分になる。
 頂上から下りしばらくすると、いまいち道がはっきりしないので立ち止まっていると、レスキュー隊員がひょっこり岩を越えてきた。ルートはそっちなのかと進むとちょっとなんだかバリエーションルートのような雰囲気が出てくる。そして、再び道を見失う。落ち着いて良く見たらすぐに道は見つかった。
 駒津峰から仙水峠を経て頑張ったすえに小屋が見てきた、「小屋に着いたらまずビール、ビール」と思いながら歩く。17時20分に仙水小屋到着。が、なな〜んんと小屋では食事を今か今かと待ち構えるお客がテーブルについて待っている。その上、小屋の手前には立ち入り禁止の札がある。ふと、反対側に目をやると、水が流れ出ている。とりあえず、一口飲む「うっっ美味い!」美味さのあまり二口目をのむが、「ビ、ビール・・・止めることに決定!!」ゴクゴク思う存分水を飲む。あれだけビールの事を考えながら歩いていたのに、あっさり断念した。今でも思う「あの時、ビールを飲んでいたらどんなに美味しいビールだったんだろう。」
 落ち着いたところで、テントを張り夕食を作る。今日は大量に水があるのでラーメンにする。持ってきた生野菜を全部コッヘルに放り込むと、麺の入るスペースがぎりぎりになってしまった。そのうえ、コッヘルを持つと重い。手が疲れるので休み休み食べる羽目になる。満腹になり十分満足したところでさっさと寝る。
 三日目は、1日目の過ちを繰り返さないためゆっくり歩き出す。行程も短いので6時30分と遅めに仙水小屋を出発する。
 早川尾根に出て、岩を回り込むと雷鳥の親子がパタパタ歩いて逃げ出す。一瞬ビックリするが、カメラを取り出し2〜3枚写真を撮り、歩き出すと親鳥が登山道を逃げて行く。「そっちに行かないでくれ!!」心の中で叫ぶが、親鳥は子供を守るべく囮になっているみたいで、ちょこっと逃げた先で草をついばんでいる。これ以上、脅かすのも悪いので真ん中の岩を越える事にする。(高さ2m位の岩)
「北岳見えないかなあ、仙丈ヶ岳見えないかなあ」と、歩くが今日も曇り空で山の中腹より上は雲に覆われて何も見えない。曇っているおかげで涼しいのだが、時々ジリジリと日が差す。そんな、雲の切れ間からモクモクト見事な入道雲が見える。雷が来ないように祈る。
11時に中間地点のアサヨ峰に着くと雷が鳴り出す。稜線上に居るので、まずは樹林帯をめざす。そして、ペースを上げ13時20分早川小屋に逃げ込む。雷が鳴っているので、小屋に泊まろうとしたが「今日、いっぱいなんですよ」と言わる。なんだか山小屋に嫌われている感じがする。雨が降り出す前に大急ぎでテントを張る。テントに入り中でゴロゴロ。外では雷が上から横から横からゴロゴロ聞こえてくる。
 夕食を早く済ませる。小屋から聞こえてくる音楽を聴きながら眠りにつく。明日は、早く起き御座石鉱泉に下りることにする。
 そして、四日目は4時50分に出発したのだが、歩き始めて30分ぐらいで雨が降り出す。曇り続きで眺めが悪く最後に雨が降ってきたので、予定を変更し広河原に下降、7時20分広河原到着、その後バスで下山。
 今回は、天候がいまいちでちょっと残念だった。が、黒戸尾根は登りゴタエがあった。また行くぜ黒戸尾根!!