刺しても刺しても撥ね返され

犬殺し…半殺しにされちゃった!


期日:2005年2月22日(火)
山域:下仁田 荒船山
ルート:犬殺し 仔犬殺し
ジャンル:アイスクライミング
メンバー:黒須 寛(こすぎっち)・石賀 雅浩(がっちゃん)
報告:がっちゃん

時間
03:50 壬生IC発 → 06:10〜06:30 荒船山登山口 → 07:40 ベース到着 → 08:10〜12:10 犬殺し → 12:30〜13:50 仔犬殺し → 14:00〜14:30 ベースで休憩 → 15:30〜15:50 荒船山登山口 → 18:30 壬生IC着

数年後には八場ダムに没してしまう吾妻不動滝への反響が大きく、混雑しない平日に行かないかいとくっちーからのお誘いを受けた。そこで指導員講習会後1日を置いた22日に設定したが、再三おいらに勧誘していた方のくっちーが逆に駄目だとキャンセル。困ったがっちゃんは1%の望み?をかけてこすぎっちに打診したら快諾。ありがたや〜。こすぎっちは誰も居なかったら犬殺しに行くつもりだったそうで、ん?そこはドコじゃ?。そしてこすぎっちも吾妻不動滝にかなり関心があるようだが、なぜか出て来た名前は大谷不動。おいらはまだそない大変な所は行けないよ!っとガイドブックで見た犬殺しの強烈な写真を、見て見ぬ振りをし、吾妻不動滝は2Pが水が流れて登れなさそうな状態だったのと、来年みんなで行こうではないかとの画策のもと、犬殺しにさせていただいた。とはいうものの、果たして登れるか?ドキドキ!ワクワク!………前振り長いよ!

朝に自信のないおいらは今夜も車中泊。おもちゃのまち駅に夜11時半到着。駅前は既に静まり返り、終電も過ぎたようだった。携帯で掲示板を確認すると、おいら以外の渓嶺指導員講習生は3人ともスキーに行ったようだ。みんな疲れというものを知らないのか。用意したビールもまだ疲れが溜まっているようで飲む気せず、そのまま12時過ぎに寝る。朝3時半起床、寝袋片付けたらすぐこすぎっちがやってきて、2台で壬生の総合公園の駐車場へ。下はでこぼこで悪いが、それ以外はなかなかいい場所だ。ここからこすぎっち号でGo!さすがに朝早く渋滞なくして伊勢崎を通り過ぎ、夜が明けぬ前に相沢集落を通過して林道へ。とは順調に行かず、林道より先は土日に降った雪がまだ残って凍り、坂道で何度も滑って進めない。まずおいらが車から降りた。ちょっとは前進したが、それでもNG。ザック類も降ろして合計10回目くらいか。下から加速をつけてやっと危機脱出。その先も普段なら相当奥に入れるらしいが、2駆では時間ばかり費やしてしまいそうで勿体無い。やむなく荒船山登山口の広場に車を留めた。

いざ出発。しばらくは林道を歩く。時折全く雪が解けていた所もあったが全体の8割は雪で覆われ、4駆があれば=くっちーがくればなぁ、と呟きながら黙々と足を運んだ。途中分岐ではこすぎっちがガイドブックを確認し、右に行く。7年ぶりでは記憶はちょっと確かではないようである。賢明!40分くらい歩いただろうか。やっと山道に入る。なお、普段はここまでは車が入れるらしい。山道の序盤は緩い沢登りのような感覚であったが、そのうち傾斜がきつくなり、やがて大きくうねるジグザグ道へと変わる。それでもペースを落とさぬこすぎっちにここで離されてはいかんとなんとか喰らいついて歩いたが、終盤突然、体全身に力が入らなくなり遅れる。よはバテたのである。ベースに着いた差は5分程だろうが、かなり大きく離されたように感じた。

第一印象…犬殺しはリードは無理そう。仔犬殺しは楽しめそう!まずは犬殺しから。こすぎっちが「リードする?」と聞いてきたが、笑顔で「どーぞどーぞ!」こすぎっちリードで開始。右側の凹角部から登り始める。ここでワタクシ一つ失態。アプローチで目出帽を被らなかったため、そのまま忘れてビレイをしてしまい、すぐ頭が寒くなってしまった。初っ端はもしものことを想定し日陰の氷瀑の横でビレイをしていた。こすぎっちが2本目のスクリューを打ち込んだのを見て安心して5m下の日当りに移動しようと…その途端、まだ歩くには慣れぬ縦爪アイゼンの歯がひっかかり、スッテンコロコロ!こけてしまう。こすぎっちはビックリしただろう!その影響か、こすぎっちのペースがこれよりかなり遅くなってしまった。リードに余計な神経を使わせるのは絶対避けるべきである。ごめんなさい。
ルートは凹角を8mほど登り、左上に脱出してバーチカルぎみのカンテを8mほど。ここまでが核心である。ここを過ぎれば若干傾斜が緩くなり足場も出てくるようになり、8mほど登ると落ち口に到達。これから先は傾斜が50度程の雪付帯と氷壁が2度ずつ交互に現れ、20m登った滝の残り20m辺りの氷壁にビレイ点を作って1P終了。
実はこすぎっちは核心部で手が冷たくなったようで、かなりキビシそう。左上に移動後の3本目のスクリューを打った後ではあるが珍しく休憩している。今日はドラえもんのアイテム(塗るカイロ)を忘れたようだ。そういってくれれば持っていたのに。しかしよく見ていると今日の氷はアックスの刺さりが悪いようだ。かなり苦戦していた。おいらは大丈夫だろうか。不安がよぎる。傾斜の変わり目の辺りでも5本目のスクリューをどこに打とうか考えながらいっている様だ。この辺りまで気が抜けない、時間は既に30分を過ぎていた。その後、下からでは見えなくなり、ロープの流れを頼りにビレイをする。「残り10m!」「残り3m!」ちょっと冷や冷やしながら長い時間を過ごす。そしてどのくらいたっただろうか?長い時間が過ぎてビレイ解除のコール。またこの頃2人組のパーティーが現れ、我々を見てちょっとがっかりして仔犬殺しに取り付いた。
さて、おいらの番が廻ってきた。最近はセカンドでも少しでもリード気分でと、こすぎっちの刺した跡を避けてアックスを振る。しかし今日の氷はビックリ!硬いというよりは刺さらない。それでも2本目のスクリューを回収するまでは順調であった。さあここから左上へ…と意気込んでトライしたものの、ここにきて硬いゴムを刺している様で氷に当たった瞬間アックスの先が止まり歯が奥に入らない。しかも足も安定しない。即座に腕が疲れ立ち往生。こりゃまじ〜!必死にフィフィを引っ掛けて逃げる。腕は曲がったまま伸ばすことも出来ず、手の指先は全てジンジン痛い。指の痛みは初めての経験。この先どうする?見上げても絶望だけが走る。そして2年前の悪夢が蘇る。心の中で、もういい!下りたいよう〜と叫んでいた。〜しかし待てよ!体が縮んでいたなぁ!腕に頼っていたなあ!指の痛みが消えるまでに基本を思い出す。そうと判ればなぜか体から活力が湧いてきた。足を上げ、安定させてから腕を縮めてすばやく抜いて先を刺し、ぶら下がる。単純ではあるがコレを繰り返し、粘った甲斐あってなんとか復活!前半を切り抜けた後はその快感に浸りながら楽しく登った。…後でこすぎっちから「雪付帯での登りではアックスの石突を使ったほうが楽だよ」とアドバイスを受ける。ふむふむ!なるほど!またこすぎっちはアックス2本にスクリュー3本を使い、氷壁に強固なビレイ点を作っていた。時間をかけたのがよくわかった。
犬殺し2Pは20m程、左側はバッチリ凍り右側はシャンデリア風。こすぎっちが完全制覇するかと思いきや、1Pをリードしたら満足したようで、「そのまま行ってもいいよ!」では行かせていただきます。シャンデリアはちょっとスクリューが打ち込めない恐れがありそうなので、ここは手堅く左側のカンテのちょい左のフェースをトライする。雪付帯をすぎて氷壁に取り付きまずスクリューを1本。この氷壁はアックスがよく刺さった。スクリューは氷壁の真ん中と落ち口直前にも打つ。よしよし、な〜んて基本じみたことしながら最後の雪付帯も慎重に詰めて、しっかりした木に残置された2本のロープスリングの強度を確認し終了点を作成。こすぎっちも楽々登ってきて犬殺しを制覇する。
下りの懸垂も2P。下に向って右の立ち木を中継して下りる。1P目は傾斜は緩いのだがバランスが重要。2P目もバランスが不安定なまま後半は空中懸垂となる。こすぎっちが下でロープを持ってくれたので楽に下りれたが、一瞬でも気を抜くと怪我をしそうな下降であった。我々が犬殺しを終わったのは、12時過ぎ。あとから来たパーティーは既に仔犬殺しを終え、飯も終わって実に暇そうであった。大変お待たせしました。どうぞ!
行動食を頬張り、こすぎっち自家製の梅ジュースを飲みながら、しばらくは後パーティーの登りを拝見。昼を過ぎてアックスの刺さりも良くなってきたようだが、それにもましてリードの人はかなりうまい。凹角からやや右上をいとも簡単に登ってしまう。ただただびっくり!うちらの半分以下の時間で1Pを抜けてしまった。犬殺しくらいのグレードになれば、あれぐらい上手くなってから挑戦しないと、その資格がないのかも知れない。なんて言ったら登れなくなるので撤回する!

さぁ、お次は仔犬。こちらはこすぎっちはリードに拘らず、まだおいらも同様。ならばジャンケンポン…チョキで勝ってしまった!おお〜。ならば果敢に攻めねば!ルートファインティングをし、左端部から取り付く。犬殺しがあまりにも厳しかった影響か、仔犬はリードでもスルスル登れる。アックスの刺さりもGoo!スクリューはイメージ通り氷壁1段目2本、2段目3本、3段目2本 (だっけ?)。今のおいらにはこれくらいが丁度か?。終了点は最上部の雪付帯の右端。今回は先に登ったパーティーのトレースがあったのでよかったが、ないと傾斜の強い雪付帯をまっすぐつめた立ち木にも終了点があり、そこしか見えずに行ってしまうので気をつけたし。といって、別にそこを終了点に使ってもよいのではあるが、おそらくビレイ中の姿勢が大変であろう。お次はこすぎっち。見た限りではフィフィを使わずスクリューを回収。なかなか早い。仔犬殺しはあっという間に終了。ほっとしてからカップラーメンを食べて遅い昼食をとる。うまかった。またその間こすぎっちは、おいらのバイパーを借りて仔犬の下部をトラバースして遊ぶ。最近定番になりつつあるバナナ型は相当気に入ったようだ。パルサーやクウェーサーの比ではないらしい。

帰りは林道の半分が除雪されていた。後パーティーの話を聞くと、我々が歩いた30分後に除雪車が入ったらしい。なんともタイミングの悪い我々。まっいいか!そして我々が車に戻ったとき、後パーティーが車でお先に〜と会釈しながら去っていった。これにはやられた〜。

 先々週の吾妻不動滝と今回の犬・仔犬に挑戦できたことで、アイスクライミングがやっと面白くなってきた。そして2年前の、あの屈辱の敗退を喫した野門の友愛と雲龍の燕岩の氷柱にリベンジする意欲も湧いてきた。と同時に、アイスであってもフリーの練習が大切であることを痛感した。そんな自信のついた山行であった。帰宅後、前夜飲めなかったビールを風呂上りに飲み干すと、一気に充実感が包み込んだ。…美味かった。


《以下掲示板より》

うんだ  投稿者: ヤツ  投稿日: 2月22日(火)21時12分29秒
おらぁ、みんなに会えねぇんだけっども、そんでも地道にがんばってんだぁ。
木曜もいぐづもりだぁ。みんななるべく早く来てけろ。
今日は、ひっさし振りにびれいやー付で氷を登ってきたど。なんか『犬殺し』っていう、
おっそろしい名前の所だけんども、楽しかっただなぁ。やっぱ1人はさびしいだなぁ。
がっ様どん、あんがとなぁ。
(どこの言葉だ というツッコミは受け付けません)

んがとヤっさま  投稿者: がっちゃま  投稿日: 2月22日(火)22時06分53秒
ぐびぐびっ!
むひっ!
ぢゃっぱびーるはうまっ!
やっさまどもども!
こっちゃらこさぁ!
〜意味不明あたしゃこの変で〜