日時   :2004年9月17日〜19日
山域   :南アルプス
山名   :甲斐駒ケ岳赤石沢ダイヤモンドAフランケ
ルート名 :赤蜘蛛ルート
形態   :岩
メンバー :谷嶋、北村
報告者  :谷嶋

昨年行こうと思っていて機会がなかった赤蜘蛛ルートに行ってきました。
1日目
村営バスで北沢峠へ。9時半に歩き始める。仙水峠経由で甲斐駒ケ岳へ。相変わらず私は初日の具合が悪く、山頂から黒戸尾根を降りたところで嘔吐。行動食を全部出す。14時近くになって這うように八合目の岩小屋へ着いてさらに2度嘔吐。今回の高所障害?は酷く、ダウン上下を着てツェルトの中で横になっていたが、ひどい寒気を感じてガタガタ震えが止まらない。当然食欲もなく、夕食のカレーを休み休み何とか胃に収める。食べるとようやく代謝が始まったようで、随分体が温かくなってきた。
2日目
8時頃、赤蜘蛛ルートの取付きに着くと、何故かロープが置いてあり、末端が上に伸びている。一瞬意味が判らなかったが、上を見て納得。ソロクライマーが登っている。しかもスーパー赤蜘蛛(つまりフリー)だ。9時、ユマーリングしていく先行者の後を、我々は当然?アブミでヨチヨチ登りだす。
1P目 リード谷嶋
 二本目のピンからして遠く、いきなり苦労させられる。朝一で体が慣れていないせいか、全体に遠く感じる。
2P目 リード北村
 コーナークラックをフリーで辿る。ハンドジャムがバチバチ効いて気持ちよい。私はセカンドだったが、カムをセットしながらだと疲れそうだ。次行くときはリードしたい。ガスって景色が見えなかったのが残念。
3P目 リード谷嶋
 コーナーから左のクラックへ移り、V字ハング下まで。結構短く感じた。ハーケンの間隔も近い。終了点から下を見ていてたまにガスが晴れると、コーナーを登ってくる北村さんがカッチョイー!普段の3割増し!
4P目 リード北村
 V字ハングを左から回り込み、右上して大テラスへ。あまり印象ないピッチ。
5P目 リード谷嶋
 雨が降り始める。スラブはびしょ濡れでフリーでは困難になる。このピッチは終了点まで余りにも短く、拍子抜けする。20m位か?
6P目 リード北村
 雨が酷くなる。ビレイしていても上を向くと目に雨が入って不快。登る北村さんはもっときついだろう。結構時間が掛かかっていた。北村さんが登り終えたところで、天候も考え大テラスでビバークを決定。5,6ピッチ目にロープをフィックスして大テラスへ下降。ツェルトを張る。ビバークするつもりは全くなかったので食料、水が乏しく、晩飯はカロリーメイト2本を2人で分けて食べる。食事時間1分。水を2口くらい。北村さんは、直前に山野井さんの本を読んでいたから、これで十分腹いっぱいだとウソを言っていた。ビバーク中は結局、ほとんど眠れなかった。

3日目
 朝食は小さいビスケットを7〜8枚くらい。食事時間3分。朝4時過ぎに行動開始。5、6ピッチに張ったフィックスを、ピウー(オートロックビレイ器)とフリクションノットで登り返すが効率が悪い。タイブロック持ってくりゃ良かった!ろくに食っていないせいか非常に疲れて動きが緩慢。昨日の到達点まで合計60mほどの登高だが、2人で上がるのに3時間以上掛かってしまった。情けない。

7P目 リード谷嶋
 アブミビレイの終了点からスタート。ピンはやや遠めで、入山初日からろくに食っていないヘタレの私は右に左にチョンボ棒を連射。恐竜カンテを回り込むところは、晴れてれば露出度満点だろうが、たまに小雨の降る中の登攀。終了点から見下ろすと、ガスの切れ間を登ってくる北村さんがまたカッチョいい。いつもの5割増し!!

8P目 リード谷嶋
 北村さんもバテているようで、8P目を譲ってくれる。ちょっとしたフェースがあるが、低血糖のせいで脳がイカレていて繊細な動きができずにA1。だいぶ登った気がして木の根でピッチを切ったが、25mくらいしか登っていなかった。実質的な登攀はここまで。

 この後はブッシュ交じりの登りを2ピッチでAフランケ頭の岩小屋へ出る。わずかに残った水を飲み干すが、疲れ過ぎていて食欲がなく、チョコ数粒しか食べられない。
 この時点で12時頃。北沢峠を下る最終バスは絶望的。それどころか広河原に置いた車も通行規制で閉じ込められる可能性が出てきた。ゆっくり休む暇はない。ザックにロープをしまい、よろよろと歩きだす。8合目の岩小屋まで30分。張ってあったツェルトその他を回収、さらに重くなったザックを担いで13時に歩き出す。山頂14時過ぎ。M&Mチョコを数粒食す。仙水峠16時30分、北沢峠17時30分。そこからバスの通る林道をヘッドランプでひたすら歩いて20時前、広河原着。クルマに乗って奈良田方面へ脱出。山頂以降の行動食はスニッカーズ半分。とにかく、きつい一日だった。

感想その他
 Aフランケは、まさに花崗岩の殿堂。日本にもこんなところがあったのかと思った。マトモに登れるように練習してまた行きたい。そのときは是非晴れて欲しい。最後に、北村さん、今回も厳しい稽古をつけて頂きありがとうございました。