安達太良山山スキーの反省


日時:2004年2月28日〜29日
山域:安達太良山
ルート名:安達太良山縦走
形態:山スキー
目的:クッチーの山スキーデビュー
メンバー:勅使河原・柴田(敏)・久池井・石賀・会員外(加藤)
報告者:柴田 敏弘


 安達太良高原スキー場のゴンドラを下りると天気はまずまずであったが、シールを付けて登り始めて間もなく、風が出てきて視界も悪くなってきた。安達太良山頂上直下では、斜面も凍結しており、スキーアイゼンを付けての登行となった。頂上では、冬特有の強風で視界もなし、条件は悪かったが全員元気、むしろはしゃいでいる。荒れた冬山を楽しんでいるようである。
 事前下調べでは、翌日は結構荒れると判断していたが、「天気大丈夫そうですね」の言葉と、さらに昼を過ぎた頃より天気が回復してきたため、行けそうだと思った。後で思えばこれは冬特有の疑似好天と思われた。おかげで昼下がりの2時間あまり、快晴無風の中スキーの練習を楽しむことができた。また目の前の真っ白な山肌と西に傾く夕日の美しさにしばし見入ってしまった。後で思えば美しい夕日の翌日は大荒れという言い伝えがあったことを思い出した。
 翌朝トイレで小屋を出ると視界は良好であったが、分厚い雲が上空を覆い遙か下界はやはり雲に覆われていた。何かいやな感じはしたが、昨日のいい天気とすばらしい星空とあいまって、今日の滑降にわくわくしながら朝食をとった。間もなく風が吹き始め、その音に不安を感じた。小屋の外はとても行動できるような状態ではなかった。帰宅後調べると、大陸にあった低気圧がオホーツク海に進み、そこからのびる前線が本州にかかっていた。つまり前線通過の悪天候であった。リーダーと相談、選択肢は3つ考えられた。リーダーは予定を変更して、みのわスキー場に下りることを提案してきたが、強風の中を約1時間稜線上を歩かなければならず、危険と判断した。次の選択肢は、小屋で停滞し風の収まるのを待って予定通りの行動もしくは、来た道を引き返す。これは事前の下調べと今までの経験それと”感”からであるが、1日待っても風は収まらないだろうと判断した。残るは、風裏にルートをとって下山することだ。幸い鉄山避難小屋と箕輪山との鞍部に塩沢に向かう夏道があるのでそれを利用することにした。強風を避けるため小屋から雪原の上を斜め右に下降しながら夏道に出るつもりであったが、凍った吹きだまり様斜面に出くわし、やむなく左下の尾根状の灌木帯に向かってルートをとることにした。テッシー先頭でトラバースを開始したが、ちょっと長いトラバースであり、傾斜もあったので危険と判断し、私が先頭になり足場を作った。実は5名中2名がアイゼンなしである。もっと強くアイゼン携帯を言うべきだったと強く反省した。簡単な山スキーコースとリーダーではないということから甘く見ていたと反省している。もちろんピッケルも持ってくるべきだったかもしれない。自分は出発の朝、少し迷ったのだがストックもあることだし、アイゼンがあるから大丈夫と判断した。トラバース中は、雪崩と滑落が心配であったが、幸い深雪の積もった様子もなく、トラバース地点が比較的上だったこともあり大丈夫と判断したが、弱層テストもせず少々無謀であったかと反省している。もし事故が起きれば私の責任だ。傾斜もその斜面では比較的緩いところだったこと、全員がビビルことなく歩いてくれたことで安全地帯に着くことができた。後は少々登り返しはあったものの、山スキーらしい滑りを楽しみながら、無事塩沢スキー場に到着できた。少々強い言い方をしたが、これも山での教訓とお許し願いたい。
未経験ルートを行くときはリーダーの言うことをよく理解し従うべきであると思う。各個人の判断で行動すると、パーティとしてのまとまりがなくなり、強いては遭難につながると思う。まして言われないうちに先へ出るのは厳禁である。
 これを読んで心当たりのあるメンバーは、そのことを謙虚にとらえ反省し、今後の山行に役立てていただきたい。またこの記録を、計画書のルートを変更した報告にかえさせてください。