山域: 南アルプス 甲斐駒ヶ岳
ルート: 黒戸尾根
形態: 縦走
日程: 平成18年4月21 - 22日
メンバー: 久池井 七生 (CL)・久池井 豊                               
報告: 久池井 豊
 
 コースタイム: (1日目)竹宇駒ヶ岳神社駐車場7:40−横手・白州分岐10:00−刀利天狗13:10−五合目小屋14:20−
七丈小屋目前にて下山開始15:30−五合目小屋16:10        
(2日目)五合目小屋7:30−横手・白州分岐10:10−駐車場12:20
 
 前夜は駐車場(標高775m)で仮眠を取り、6:30起床。太陽はすでに昇り空は明るい。駐車場から見える桜は満開だ。ポカポカ陽気のもと、冬山装備をして登り始める。他の登山者はすでに出発したようだ。今回の目的は、残雪の尾根を歩くことだが、鳥たちの鳴き声をBGMに目の前に広がるのは満開のツツジで遠くに目をやれば富士山が!どうも緊張感に欠けるスタートとなった。でも、まぁこんな山行も久しぶりで楽しい。それにしても、長い!汗をかきかきひたすら登る。横手・白州分岐を少し過ぎた辺りで本日始めてのハイキング姿の登山者に会う。その先で雪がでてきたから帰るとのこと。事実、日陰のところは雪がなくても土が凍っており、かなり気を使うようになる。10:55(標高1680m)に、刃渡りをかなり前にしてアイゼンを装着することになる。それにしても、溶けた雪が凍っており、この急登では本当に神経を使う。そのため、先ほどまで良いペースできていたのだが、ここにきてペースダウン。刀利天狗手前で、本日2番目の登山者に会う。五合目小屋まで行ったが、その先が危険で明日は天気も悪くなることから下山を決めたとのこと。さて、刀利天狗まで来れば、あとは黒戸山をまくように樹林帯の中をトラバースとなる。しかしながら、雪に足がとられやすくかなり体力を消耗する。予定より20分ほど遅れて14:20五合目小屋に到着する。この小屋は今は倒壊の恐れがあるらしく中に入ることはできない。ここまで、来ると目の前に広がるのはまさしく雪一色の頂のみ。あまりの迫力に怖じけそうになる。横に目をやれば南アルプスの盟主北岳が見える。ここから先はトレースもない、いやが上にも気分が高まる。それにしても至るところにマーキングがしてあって迷うことはないのだが、いかんせん木はしご・木橋の連続には辟易する。はしごの約半分ほどが雪に覆われて非常に歩きづらい。しかも、上の乗越部分が溶けた雪が凍ってアイス状になっており、アイスアックスが欲しくなった。さらに、岩場もそのような状態で氷で覆われておりアイゼンの前爪でトラバースするなど予想外の行動となる。これには本当にマイッタ!五合目小屋から1時間が経ったころ、思った以上にペースが出てないことに気づく。お互い体力的・精神的に消耗していることがわかる。ちょいと安全なところで立ち止まり小休止。今後の行動について相談した結果、この様子だとたとえ日没前までに七丈小屋に着いて、明日に頂上を目指してもさらなる体力・技術が要求されると考えられること、および、明日の天気を考慮して下山することとした。そうと決まったら、五合目小屋の安全なところまで下りることに決めた。ヘルメットを装着し、長いテープスリングで簡易チェストハーネスを作成して、持ってきた9.5mmx30mのロープで先ほどのアイスバーン化した急峻なところはエイト環を用いて懸垂下降した。16:10五合目小屋に着き適当なところで設営の準備をする。16:50入営。夕飯を食べながら今回の判断についていろんなことを考えたが、悔しいけれど、これが自分たちの実力。
 翌朝は、ゆっくり起きて7:30に出発。さすがに雪が適度に締まっていて歩きやすい。時々、小雨がぱらつくかと思えば晴れ間が見えたり、また小雨が降ったりと天気も忙しい。下りはかったるいし滑りやすく疲れたが、ツツジと鳥の鳴き声に癒された。尾白川でしばし休憩して汚れたスパッツを洗い、疲れた体を休めお互いを労い合ってお昼過ぎに駐車場に着く。
 今回の山行は、当初の目的通り残雪の尾根歩きとしては最高の尾根だった。残念ながら、登頂はできなかったが良い経験ができた充実した山行であった。