日時:2005年8月13日〜15日
山域:北アルプス
山名:穂高岳
メンバー:大木、北村、福原、吉岡
ルート名:上高地、北穂高岳、涸沢岳、奥穂高岳、前穂高岳、上高地
形態:縦走
目的:夏山を楽しむ
報告:吉岡

初日。沢渡あたりの駐車場から7時に出発。といっても、まずはタクシーで上高地へ。
上高地から本谷橋まではきつい坂もなく、「自然いっぱい森林浴」という感じだった。曇りほんの時々晴れといった天気だったので、快晴だったら最高に気持ちよかっただろうな〜。
その後、上り坂が徐々に増えてきて、本格的な登山が開始された。足が重くなりかけたとき、山間に広がる楽園が見えた。涸沢ヒュッテだ。ヒュッテってすっごーい。

2日目。きのうは山岳野菜カレーを食べたし、ぐっすり眠れたので体調は万全。まず北穂高を目指した。山頂までは人生で一番大変な登山となった。何しろ、手を離したら落ちてしまうところの連続。これは岩登りでは…?と何度も思った。でも、みんな無事登頂。
山頂では曇りだったが、あるとき雲が引いて、槍ヶ岳が見えた。大歓声が起きた。僕も「おお」と小声で言った。本当に見ることができてよかった。

3日目。いきなり雨。内心だめかもしれないと思ったが、明日は仕事だから選択の余地はなし。やる気を奮い立たせた。いざ出発!いきなりはしごを上った。昨日のような岩場だったら嫌だな思ったが、願いかなって昨日ほど危険なところはなく(慣れたせいもあるかも…)、順調に奥穂に登頂できた。
 あとは下るだけ。途中で最後の名所「天然クーラー」を発見した。岩の割れ目から風が吹いてきた。

 今回の山行では、僕にとって初めての山中テント泊を経験できた。テントでは幽霊の声が聞こえてきたりと、奇妙なことが起こったが、チームの団結力は強まったと思う。



前穂へアタック!
報告:北村
 合宿最終日となる3日目。穂高岳山荘にいて、夜通し雨と風があった。
 2時半起床の予定だったが、ガスっていて少し心配だったので1時間ほど余計に眠り、5時ぐらいから歩き出す。テン場から行動を開始した直後から岩場となるため、新人のみんなにとっては少し緊張感のあるスタートとなったことだろう。数パーティーと出発が同じタイミングとなったため、最初は数珠つなぎになって登ったが、少し歩きやすくなったところですぐに集団から抜け出せた。
 順調に奥穂高に到着したが、何だかあんまり山頂っていう感じじゃなかったし、ガスっていた上に風雨のせいでうすら寒かった。後続があまり来ないうちに先を急ぐ。
 吊り尾根の前後では、単独の若い男性にだけ抜かれたのを除いては先を歩いていたパーティーをどんどん抜かしたため、ガスの中の紀美子平に到着したときは周りには誰もいなかった。混み合わないうちにと思い、空身になってすぐに前穂に登り始める。
 今回の合宿では、おれはこの前穂に登ったときが一番印象に残っている。きっと、ほかのみんなもそうだったに違いない。
 昨日もおとといもず〜っと他の登山者が多い中での行動だったのに、前穂を登っているときには自分たち以外の誰の姿も見かけなかった。不思議なほど静かな気配。ガスっていて遠くの景色は何も見えない。ずっと岩場が続くので、新人たちの緊張感も何となく伝わってくる。混み合うはずのこの山域にまるでおれたちしか登っていないかのような錯覚。登りながらふと、楽稜の稲葉君がスパンティーク遠征の報告にBCからC1までの様子を「穂高のよう」と書いていたことなどを思い出した。
 あと一息で山頂という時、突然雲の切れ目から晴れ間が見えた。
 ものすごく青い!
 一瞬垣間見たはるか上のほうは、ガスっていて天気も悪い周囲の様子とは一切無関係に、どこまでもキョーレツに、青かった。それまで黙々と登っていたみんなも、山頂を踏んだ時には元気いっぱいの笑顔になる。
 山頂は北穂や奥穂に比べるとずっと広く、背の高いケルンがいくつも立っていて、先客は唯一途中で抜かれた若い男性だけだった。晴れ間はすぐまた灰色に覆われてしまっていたが、雲の流れはとっても速い。もう一度陽が射してくるのを期待してみんなで少し休憩。
 今年の春合宿では谷嶋君と迫さんが北尾根からここに登ってきているのだが、縦走している身で考えるとずいぶんスゴいことのように思えてきた。おれは北穂も奥穂も前穂も今回が初めてだ。この合宿の最後のピークである前穂との名残りを惜しんでいるうち、ぶわーっと雲が風に流されて再び真っ青な上空が見えた。ほんの少しだったけど、みんなで大満足だった。
 山頂を後にすると、やがて下からどんどん中高年パーティーが登ってきてあっという間に賑やかになった。ザックのところに戻り、たくさんのパーティーが前穂に向かう中で少し飲み食いしてから、岳沢ヒュッテに向けて下り始める。1時間で岳沢ヒュッテに到着し、あとは樹林帯の中を歩くのみとなった。